2013年4月22日月曜日

先祖になる



4月20日、土曜日。
10:20の一回しか上映していない「先祖になる」を観に、ポレポレ東中野へと出かけた。

みんな畑のセンセイ明峯さんが、「すごく痛快でおもしろかったわよ〜」と大絶賛だったのもあって、観に行くことにした。

陸前高田。
津波で長男を亡くした77歳(当時)の直志さんが、家を建てるドキュメンタリー。
観て直ぐにびっくりしてしまった。
見覚えがあるところだったから。
昨年秋に陸前高田に行った時に、車を降りて歩いた場所の直ぐ上に直志さんの家があったのだ。
昨年秋に見た森や枯れた杉や匂いを思い出した。
とたんに涙があふれてしまった。

直志さんは、津波に襲われ、長男を亡くし、まだ遺体が見つかる前から、耕作されていない田んぼを借り、籾まきをし田植えの準備をされていた。
がれきをどかしただけの場所に蕎麦の実を蒔いてもいた。
自分が持っていたキュウリの種が流され、自宅から離れた場所で芽吹いていた。
自給自足すればいいんだ。
水さえあれば生きていける。
木こり半分、農業半分で生きてきた直志さんは、そう言いきって土を信じて耕作される。
津波がなければ現役を退くはずだったのに、自分が伐った木で家を建てると決めたから現役を続行されている。
自分には時間が無いんだ、と。
前立腺がん。治療もままならない。

法律は誰のためにあるのか。

まちは誰がつくるのか。

まちに生きる人びとに、考えがあり、志があり、感情がある、と実感している専門家と言われる人たちはどれほどいるのだろう。

直志さんは、専門家といわれる人たちには、きっと頑固で扱いにくくて面倒くさい存在なのだと思う。
でも、数十年後のことを考えて夢を抱き、身体を動かし、少しづつ実現していく、その姿に私は夢を描く。



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