おじいちゃんが死んだ時のこと覚えてる?
突然の問いに次男が驚いていた。
覚えてない。
えッ?覚えてないの?
うん。
そうかあ、覚えてないかあ。
でも、おじいちゃんは空にいったんだなあ、って空を見上げてたことは覚えてる。
父は長崎、私たちは東京で暮らしていた。
夏になると長崎に帰り、海に遊びにでかけた。
こどもたちは私の母を知らず、父はそんな孫たちを可愛がってくれていた。
父が入院しても、ずっとそばにいられるわけではなかった。
ある夜、次男が突然激しく泣き出した。
わけがわからなかった。
しばらく泣き叫んだ後、ようやく落ち着き、寝入った直後だった。
兄から、父が亡くなった、と電話があった。
翌日長崎へ帰った。
父が荼毘に付されているとき、私はこどもたちと外にいた。
あのとき、たちのぼる煙をみていたっけ。
その時次男は5歳。
それからしばらく、次男は深夜に泣いておきた。
おじいちゃんはどこにいったの?
おかあさんはしぬの?
ボクはしぬの?
ボクはどこにいくの?
そんな問いを繰り返した。
どれくらい続いたか。
寝ぼけ眼の私は、抱きしめながら、お空にいったんだよ、とか、心の中にいるんだよ、とか言っていたに違いない。
一ヵ月も経った頃だろうか。
何かを納得したのか、もう夜中に起きることはなくなった。
この頃、突然父や母を思い出す。
お空にいったんだよ。
お空から見守ってくれているんだよ。
そんなことを言っていたかつての私。
今は、畑の草むらの影、林のざわめき、ふく風の中に父や母を感じる。
うーーーんと遠くの空の上ではなくて、私の直ぐそばにいる感じ。
年齢を重ねてきたからかな。
そういえば。
次男が小学校に入学した年の母の日にこんなカードをくれた。
いつまでいきているかわからないけど、げんきでがんばってね。
あれからもう20年近く。
まだ元気に頑張っている(つもり)。
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