2012年11月14日水曜日

気づきの旅 1 陸前高田へ

気づけばもう三週間が経ってしまったのか。
自分のなかで、どう文章にしてよいのか整理がつかないまま。
ぼんやりとしていたものが、ようやく見えてきた。

先月10月23日の夕方、やま森カフェでの仕事を早あがりして、陸前高田へと向かった。
本来の目的は、『農業・農地を活かしたまちづくり事業』の参考にするべく、
岩手県遠野市にある「クイーンズメドウ・カントリーハウス」を訪ね、
田瀬理夫さんにお会いし、その仕事を見せていただくことだった。
wakuworksの和久さんが、5月に西村佳哲さんと田瀬理夫さんに案内いただいて訪ねた後、
その素晴しさを聞いて、行ってみたかった。
百聞は一見に如かず。

遠野まで行くのなら、陸前高田まで足をのばし、
そこで活動している「なつかしい未来創造株式会社」の中野さんに会いに行こう、ということになった。

陸前高田。
行ったことの無いその場所は、それでも私にとって特別の場所だった。
20数年来の友人の故郷。
深夜に一関に到着し、翌日陸前高田へと向かった。

一関から陸前高田に向かう途中は、何事も無かったかのように平穏な農村風景。
それが、山を下り、視界が開けてくると…。

どこにも海が見えないところでさえ、津波の被害の痕が残っている。
もう1年8ヵ月もの日々が過ぎているというのに。

市役所だったところはまだ取り壊されておらず、たくさんの花束が手向けられていた。
祥月命日に訪れる人もいるとのこと。
捜索終了、の文字。
美しい花々。

がれきがきれいに処理されていた。
コンクリート、鉄くず、木材。
本当にきれいに分別されていたのだ。
そして、布。
たくさんの布が積み上げられているのをみて、涙がこぼれてきた。
こんなふうに分別していった人たちの心持ちを考えると。
どれほどの悲しさだっただろうか。
どれほどの虚しさだっただろうか。
希望は見えているのだろうか。

渦巻く思いだけがあった。
そうしてあちこちを見て回った。
最後は、女の人たちが運営している「りくカフェ」。
何を飲んでも300円。
テーブルの上には全国から送られたお菓子が並んでいた。
さほど広くはない店内だけれど、それでも人が集まり、話しをすることができる。
がれきを見ないでも済む時間。
誰かと一緒に楽しく話せる時間。
そこに行けばあの人に会える、ということ。


中野さんは、お母さんたちが集って働ける食堂をつくりたい、と話されていた。

苦しさを乗り越えることは難しい。
でも、隣に寄り添う人がいることを感じられるのなら。
せめて明日まで。
生きていてもいいと思えるかも知れない。
崩れ落ちそうになる自分のつっかえ棒になるのかもしれない。







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